2011年2月20日日曜日

EUIアーカイブ(EU歴史史料館)

アーカイブ名 Historical Archives of European Union
サイト http://www.eui.eu/Research/HistoricalArchivesOfEU/Index.aspx
開室時間 月~金 8:30-17:00(内昼休み=12:30~14:00までは史料の注文受付不可)
■住所 
Villa Il Poggiolo Piazza Edison 11 50133 Firenze
以前自分が書いた論稿の中で、このアーカイブ(HAEU)がある街をフィエゾレと書いたが、フィエゾレではありません。あれは間違いでした。この場をお借りして深くお詫び申し上げます。

■作業言語
アーカイブの中の人たちは英語が問題なく(ネイティブではない人が大半だが)出来る。フィレンツェに住んで働いている関係上、イタリア語もほとんど問題ない(イタリア人は多い)。フランス語が出来る人もかなり多い。

■アクセスおよびフィレンツェ内の移動
市内からはバス7番のPiazza Edisonで降車。降車後は、進行方向に向かって左手の横断歩道を渡って進行方向へ(ほんの少しだけ坂道)を歩くと、丘に続く道の付け根にあたる場所に大きな門が見える。標識も掛っている。門の中へ入ったら左手に階段が、右手に車道が続いています。車道を行くと回り道なので階段を上っていきましょう。藪の中を少し上ります。足場は悪く、初夏や夏場だと木や草がうっそうと茂っていて、どこの森に迷い込んだのかという錯覚に陥ることもある。

門からアーカイブまでにある藪
建物へはインターホンを鳴らさないと鍵が開かない仕組みになっています。インターホンは押すと誰かが必ず開けてくれます。扉をあけるとすぐに階段があるので、階段を上がりましょう。ロッカーがあるので、ロッカーに荷物を入れて、最低限の荷物だけ持って閲覧室へ入ります。
 7番のバスは市内のPiazza San Marcoから出ていますが、Via Marmoraに乗り場があり、多くの乗り場がある所ではないことに注意。
 バスのチケットは、バスの中で運転手から買うこともできるが、一回2ユーロと高いので、San Marco広場の自動販売機、フィレンツェのターミナル駅(サンタマリアノヴェッラ)構内のバス会社のチケット売り場、もしくは市内各所にあるTabacchi(タバコ屋というと語弊があるのでタバッキと記す)で購入できる。4回券もしくは10回券が便利。

 今の建物からは、2011年の夏以降に引き払い、もっと市内からのアクセスが悪い、しかし非常に立派な建物に引っ越す予定です。

■HAEUには何が所蔵されているのか。
HAEUの所蔵文書は大きく分けて三つの種類があります。
(1)第一にはECと呼ばれる、EU関係機関(前身を含む)の文書。これは、委員会文書(BAC、CEAB)、理事会文書(CM1、CM2、CM3)といったブリュッセルにある文書をマイクロ化して体系的に移送(Transfer)されるものにくわえ、AC(ECSCの総会)、AD(欧州政治共同体交渉時のアドホック議会)と言ったもの、さらに社会経済評議会等、EUの周辺機関の文書も所蔵しています。
大雑把にいって、このEC文書では、ブリュッセルに偏在している各文書を一か所に収集することでヨーロッパ統合史研究の利便を図る、という趣旨のもとで文書が収集されるようです。
(2)第二には、DEPと呼ばれる、ヨーロッパ統合に関係する個人の私蔵文書、機関の文書です。前者の個人文書は、たとえばヴェントテーネ宣言を執筆した一人スピネッリや、長年EECの事務局長を務めたノエルなどがあります。後者の例としては、有名ですが、OEEC(OECD)文書があります。
・個人的印象として、近年増加の一途をたどっているのがこのDEPのプライベート文書です。とにかく、統合に深くかかわった政治家・官僚が多く史料を寄贈しており、その多くは政府文書の30年ルールにかかわらず公開されているので、DEP文書をうまく活用すると、政府文書が公開されていない時期を研究することができる可能性があります。
(3)第三には、COLと呼ばれる、個人が収録した幅広い史料の公開およびEU加盟主要国(仏独伊)+アメリカ・ロシアの公文書館(国立文書館や外務省文書館)に収録されているヨーロッパ統合関係文書を大量に複製して所蔵しているものです。特に注目すべきは後者で、しかも年々所蔵史料を増やしております。代表的なのはフランスの史料で、AN(フォンテーヌブロー含む)のSGCICEE(ヨーロッパ経済問題のための省間会議)史料、仏外務省の経済局対外関係課(仏外務省で欧州統合問題を実質的に仕切っている部局)が年々公開しております。EUIに入っているものは、オリジナルなアーカイブでもマイクロで公開されておりますし、そのマイクロには、EUIのお金でマイクロ化されました、と丁寧に説明も入っております。
フランスはかなり協力的なのに比べると、イギリスは一切協力していません。アメリカのNARAでさえあるのに(しかもEUIのイントラネットでかなり史料を閲覧可能)。西独のは、PA/AAのシューマンプラン文書のみ。


■事前問い合わせ
一応ホームページでは事前の問い合わせをすること、と書いてあるが、このアーカイブでは必須ではない。でも、基本的な礼儀として事前に訪問日時、テーマをメールしておくとよい。
■文書の注文方法
カタログは、完全にオンライン化されている。関係する政治家や機関のカタログから探っていってもいいし、検索エンジンから調べてもよい。
・ひとつ注意してほしいのは、カタログが置いてあるページには、リンクをたどっていくタイプとPdfファイルとの二つがあるが、リンクをたどっていくタイプの方がアップデートされている。たとえばEmile NoelのFondsのPdfファイルのカタログはひとつ前のヴァージョンである。
・文書を注文する場合は、閲覧室の中に大量の紙が置いてあり、その紙に史料番号・注文日付・氏名を書いて受付に渡す。

■閲覧待ち時間・数量等
注文から持ってくるまで5分から10分程度。一回に手元に置けるのは3個まで。ただし、マイクロだと、いくつかの史料が連続しておさめられている場合が多い。

■複写
・紙史料の場合、複写は史料を指定して掛りの人にやってもらう。複写を申請するための特別なフォーミュラはない。
・複写できる枚数は細かく規定されている。COLおよびDEPの場合、それぞれのFondsで年間500枚まで。各国の外務省資料の場合はさらに枚数が低く設定されていることもある。共同体史料(EC)の場合は、複写枚数に制限はないがお金はかかる。
・ただしデジカメの場合どのように管理しているのかはよく分からない。なお、多くの史料はマイクロ化されている。マイクロ史料の場合は、その場で落としていって、帰るときに枚数を自己申告する。
複写料金は、一枚につき0,08ユーロ。100枚を超えるごとに清算。
・なお、閲覧室に備え付けの蔵書(下記参照)のコピーについても同様。この場合は、掛りの人にカードをもらって自分で複写する。枚数は終わった後に自己申告する。

■その他
閲覧室の上の階に、コーヒーとお菓子・ミネラルウォーターの自販機が置いてある部屋がある。冷蔵庫・電子レンジも完備。すこし休憩する際に有用。
お昼は、市内でサンドイッチ等を買ってきて食べるのでなければ、いったん建物の外に出る必要がある。Piazza EdisonにはOsteria(小レストラン)もあるし、Focaccariaも最近オープンした。個人的にお勧めなのは、Piazza Edisonから少し下ったPiazza San Gervasioの角にあるFocacciaria。小さな店だが、フォカッチャをその場で作ってくれたり、ピザの切り売り、簡単なパスタ、Primi Piatti(ソテーした肉と野菜などお摘み的食事)が食べられる。基本イタリア語。
時間に余裕があるなら、7番のバスに乗ってさらに丘の上に上がり、San Domenicoで降りてEUIのBadiaにある学食に行く、という選択もある。部外者であっても堂々と食べていいのではないかと思うがどうだろか。パスタ+小皿(サラダ、ヨーグルト、果物、デザートの中から二つ選択)で5ユーロちょっと、メインディッシュ(肉等)+パスタ+小皿(ひとつ)で7ユーロちょっと。

■個人的感想
もう少しで移動するが、個人的には思い出深い文書館である。最初に訪れたのは2001年の2月で、閲覧室の窓から見えるドゥオーモの美しさには溜息が出た。
10年前に比べると比べ物にならないくらい、個人文書が充実するようになった。カタログが出ているものは基本的に読めるので、文書によっては1980年代や90年代の史料も閲覧可能である。まずサイトのサーチエンジンでいろんなキーワード検索をして関連文書を調べて、閲覧史料にあたりを付けておきたい。なお、キーワードは、英語よりもフランス語やドイツ語、イタリア語などいろいろ変化させて調べることがコツである。基本的にイギリスが参入する70年代以前、英語の史料はイギリス関連資料以外では皆無と言ってよい。イギリスがECに参加しても、共同体の多くの官僚は大陸系の人間であるため、内部資料が英語で作成されるのは80年代を待たないといけない。

BACやCM2などは、時間と金銭的余裕が許されるのであれば、ブリュッセルのコミッションアーカイブとカウンシルアーカイブに行くことをお勧めする。フィレンツェにあるのは部分的なものだからだ。
それに、どちらの資料館も複写料金はかからない(タダ)し、設備も新しい。残念ながら、フィレンツェのアーカイブのマイクロリーダーは古くて複写の性能はよくない。
多くの閲覧者はマイクロをデジカメで撮っているが、個人的には私はお勧めしない。理由は、あとで読むのが本当に大変だからである。いくら一年に一回しか来れないとしても、正直、後でPC上で読もうとしてくじけそうになったのは一度や二度では済まない。しかし、デジカメに取らなければ仕事にならないのもまた事実である。

閲覧室は、統合史関連の専門書・回顧録等を配架した本棚に囲まれている。その意味で、ここの閲覧室は統合史専門のミニ図書室ですらある。少し疲れたら、書棚を眺めるだけでいろんな発見があり、これがまた至福の瞬間でもある。
閲覧室を外から眺める

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