2011年2月4日金曜日

元EU官僚にインタビューする

フィレンツェにもどって一週間立ったわけですが、1月以降の学期はセミナーを取らないことにしたので(というか、正直取りたいテーマのセミナーがない)、毎日自分の研究に時間を当てています。図書館に行って論文を読んだり、これまで集めた史料を読み込んだり、アーカイブに行って必要な史料がないかどうか調べたり…。基本、孤独な作業ですので、あまり変化はありません。

が、今日は初めてEUのコミッションに30年務めたというEU官僚の方にインタビュー。これまでに触れた、同じVillaに研究室を持ちEU Fellowの方です。11月のセミナー発表が終わってから、話を聞かせてもらう約束はしていたのですが、お互いの予定がうまく合わず(もう還暦を超えてるっていうのにヨーロッパ各地のEU関連のショートセミナーを飛びまわっているとのこと)、やっと今日話が聞けました。

EUIに提出する予定のWorking Paperのテーマは、これまでちょこちょと史料を調べている訳ですが、どうにも論文としてまとめるには難しい。史料も、どう読み取っていいのか分からないくらい技術的に細かい話ばかり。正直言ってこのテーマ設定は失敗だったか、と思っていたのですが。。

今日話を聞いたイタリア人のPonzanoさんは、コミトロジーに関する実務的論文を何本も書いており、コミトロジーに関する仕事をしていたと聞いていたので、どのようなコミトロジー委員会に居たのか、と聞いてみたところ、具体的な委員会に属していたのではなく、コミッションのSecretariat Generalの中のCOREPERと委員会との調整に当たる課にいたという。つまり、自分が取り上げるコミトロジー手続きのど真ん中にいた訳です。しかも、退職する前の10年間近くはこの課の課長だった、と。これには驚愕。どうりでコミトロジーに関連する論文をいっぱい書いている訳です。
その後、彼が考えるコミトロジー手続きの発展と、その時期における特徴を一時間にわたってレクチャーしてもらう。彼は英語よりもフランス語の方が楽にしゃべれるということなので、こちらもフランス語で質問したり、しかしよく分からないところは英語でも確認したり。
最終的に、自分が論文を書く際に、どのポイントを明確にしていけばよいのか、かなりのヒントをもらうことができた。もちろん、今のアイディアはまだ彼の主張が色濃く反映されているし、こちらが考える歴史研究としての文脈への接合もしなければならない。でも、いずれにせよ、非常に充実したインタビューだった。それ自体がオーラルで使える訳ではなかったのだが…。と考えると、このテーマに関する自分の理解はまだまだなのかもしれない。

インタビューが終わってから同じVillaのフェローたちとお昼を食べに。そこに、Ponzanoさんを紹介してくれたスペイン人の例のフェローも来ていて、さっきのインタビューのことをしゃべったら、向こうも喜んでくれた。3月の頭にブリュッセルに戻ってしまうらしいが、なんというか、こういう人と人とのつながりは大事にしなければなあ、とつくづく実感した。それと、Ponzanoさんには、他にこのテーマに詳しい人を紹介してほしいとお願いしたので、うまくインタビューが続くとよいのだが。。。

さて、お昼から戻って早速テープ起こしを始めたが、フランス語ということもあって、4時間かかっても10分も進まない。しかも、向こうもネイティブではないから、文字に起こすとどうも意味不明な(というか聞き取れない)フレーズが連発である。インタビュー時間は一時間強なので、この調子だと一週間はかかるかな。

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