2011年2月11日金曜日

オランダ国立文書館利用感想

これでもう3度目の利用ですが、オランダ国立文書館を利用したので、その利用の仕方、感想などを書いてみます。と言っても、自分はオランダ史が専門でもないし、オランダ語はからっきしだが、ヨーロッパのマルチラテラルな交渉でオランダは独特の存在感を誇るので、そのようなマルチな視点からオランダに接近する人が増えれば、と思って書いております。
(2月13日表現等、変更及び追加:特に開室時間)

アーカイブ名 Nationaal Archief 
(以下の記述では当文書館を便宜上旧名の略称であるARA=Algemeen Rijkarchiefと書きます)
ホームページ http://www.nationaalarchief.nl/
住所 Prins Willem Alexanderhof 20, Den Haag
           ハーグ中央駅(Den Haag Centraal)から徒歩1分

アーカイブの正面から。本当にすぐ隣。
開室時間 水~金 10:00~17:00
       火 10:00~21:00
       土 隔週で10:00~16:00
       日・月は閉館
どの土曜日が空いているか、またその他の利用規則・詳しい地図については、こちらのページ参照


利用方法
・日本から短期で訪れる場合、以下の手順で行うともっとも効率的と思われる。
まず、ホームページ上のサーチエンジンから調べたい検索用語を入れて調べると、ARAに所蔵されている文書のカタログにどれくらいヒットしているかが詮索結果で出てくる。その結果を丹念に見ていくと、自分に関係ある史料をピックアップできる。
また、ARAの大きな特徴として、文書カタログがすべてデジタル化されており、ウェブ上ですべてのカタログを閲覧できる。ARAにはオランダの全省庁および主要な政治家の私文書が所属されているので、関係ある省庁および関係する局の名前を入れていくとそのカタログが閲覧できる。PDFにもなっているので、自分のPCにダウンロードしてカタログ内で検索をかけることもできる。
たとえば、ごく最近ついにARAに移管された外務省文書であれば、Ministeir van Buitenlands Zakenと打ち込めば、 46219件のToon resultaten in de archiefbeschrijvingenをクリックすると、外務省の史料のカタログ記述のどこにヒットしているかが分かるので、そこからたどっていくと、外務省史料のカタログに行きあたることができる。
・その他、先行研究から史料番号等をピックアップして、とりあえず閲覧したい史料番号を整理する。
史料は予約できる。訪問の二日前まで受け付けとのことなので、日本から行く場合は、前もって一週間ほど前には問い合わせした方がよいだろう。だが、その場で注文しても、大体30分もかからず出てくる。

■文書館に着いたら
・まず入り口を入ったところの受付で利用者カードを作ってもらう。無料。たぶん住所やらを記入するフォーミュラをくれるので、それに書き込めばOK。この登録時の初回だけ身分証が必要なのでパスポートを持っていく。利用者カードが出来ると、それとは別に、やや分厚いプラスチックのID証みたいものをくれる。このID証は閲覧室の扉の開け閉めに使用するのと、そこに書かれている三ケタの番号(Tafelnummer=テーブル番号)が史料注文に不可欠となる。
・なお、Tafelnummerと言っても、実際にテーブルに番号が貼っている訳ではなく、席はどこに座ってもよい。
・荷物はロッカーに。ペンは持ち込み禁止。ノート類は入る時も出る時もチェックされる(TNA、CARAN同様)。違う点は。ARAには大量の鉛筆が閲覧室に装備されているので、鉛筆を持っていかなくてもOKな点である。
・Tafelnummerが書いていあるID証は、閲覧室の扉の開け閉めに必要なので、みんな首から下げている。なお、トイレは閲覧室の外、ロッカーのあるところの地下にある。

■史料の注文
・史料の注文は閲覧室内のPCを使って行う。この際、ToegangnummerとInventrienummerの二つが必要なので気を付けること。Toegangnummerとは大分類のための番号。Inventrienummerが史料の実際の番号である。
 ARAの一つの特徴として、同じ省庁であっても、局や年代によって違うToegangnummerを割り当てることで、異なるアーカイブとみなしていることである。たとえば、外務省文書の場合、1945-1954年代の史料には2.05.117というToegangnummerを、1955-1964年代の史料には2.05.118を割り当てている。農業省であれば局ごとに異なるToegangnummerが割り当てられており、史料の整理の仕方が省庁ごとで異なるのが興味深い。
・注文画面では、自分のTafelnummerを入れる欄があり、閲覧日時、Toegangnummer、Inventrienummerを打ち込んでいく。
・なお、注文の際、数に制限なし。

■史料の閲覧
・自分が注文する史料が読めるようになったら、閲覧室の中の電光掲示板に自分のTafelnummerが表示される。この電光掲示板は、閲覧室の外のコーヒー自販機等が置いてあるリラックスコーナーにもあるので、コーヒーを飲みながらでもチェック可能。個人的印象としては20分程度で閲覧可能に。
・表示が出たら文書受付のところへ行って自分のTafelnummerを言うと、文書を持ってきてくれる。一度に机に持っていけるのは、ボックスで三つまで。基本的に、史料はいくつかの文書と一緒に一つのボックスに入れられている。そのため。連続するInventrienummerの史料を注文しても一つのボックスに収まっていることは、ままある。
・そのために、手元における史料の数は結構多い。

■史料のキープ
・史料をキープする場合、受付に戻すときに、置いてあるA5くらいの紙にいつ次読むか、という日時を記入する。

■デジカメ
・TNAと同じく、デジカメは完全にOK。これはここ1・2年に規則が変わったとのこと。

■その他
・コーヒーの自販機含むリラックスコーナーがあるのだが、今回訪問した時、なぜかその場に、閲覧室利用者のための無料コーヒーがサーブできるようになっていた。味はいたって普通だったので、たぶん職員の誰かの厚意なのかと思うが詳細は不明。
・隣接する王立図書館と共同の、同じ建物の中にある(ただし閲覧室からみると道の向こう側にある)レストランが利用可能。ただし、中央駅から徒歩1分なので、駅の中には、売店・スーパー・スナックスタンド・ファーストフード等、食べるチョイスは豊富にある。
・王立図書館と建物がつながっているのだが、王立図書館側には、カフェテリアっぽいところもあり、そこではお菓子やコーヒーも売っている。

■ハーグにはどうやっていくのか
・下記の移動の記録にもあるが、スキポール空港から、Den Haag Centraal直通の快速が30分に一本はあります。所要時間は30分未満。ハーグのもう一つの主要駅Den Haag HSにはもっと本数がある。HS駅に着いた場合、Centraal行きの電車に乗り換えるか、トラムでCentraal行きの17番に乗れば移動できる。
・電車のチケットは、普通のオランダ人は自販機で購入するが、コインかオランダの国内銀行からの引き落とししか使えないのが多い。空港にはクレジットで購入するタイプもあるが、1ユーロの手数料が余計にかかる。
・トラムは、以前は回数券(Strippenkaart:スゥトリッペンカールト)がHTM(トラムの運行会社)窓口で買えたが、今は買えなくなり、スイカみたいな非接触型カードのみが販売。

■ハーグで何を食べるか
オランダ料理はおいしくないらしいので、安くて満足なものを食べたいなら、中華かエスニック系がよい。中華は、Wagenstr.沿いにいくつかあるし、GrotemarketとSt. Jakobstr.の間にある道にも、テイクアウトもできる中華のお店がある。また、かつての植民地の名残で、インドネシア料理に加え、日本ではなじみのないスリナム料理の店も珍しくない。スリナム料理はインド系に近く(というか、スリナム自体が半分は印僑で出来ている国)ちょっとスパイシーだが結構おいしい。

■ホテル
ハーグのホテルの数は少ないので、安いホテルは限られている。しかし、オランダの場合、幹線鉄道が非常にしっかりしているので、ライデンなどにホテルを取るのも一策。
■感想
・自分が利用したアーカイブは大小含めて16ほどだが、その中では一番使いやすい。個人的にはTNAよりも上。確かにTNAのカフェテリアと書店は魅力的だが、アーカイブとしての使いやすさではこちらに軍配が上がると思う。自分にもっとオランダ語能力があれば…

アーカイブ正面

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