ドイツ外務省政治史料館(PAAA)
住所 Kurstraße 33, 10117 Berlin
開室時間 月~木 8:30~16:30、金 8:30~15:00
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■事前問い合わせ
・HPでは書面による閲覧申し込み(テーマ、研究の対象年代○○年-××年、訪問期間を添えること)を3週間前(出来れば1か月前)にするように推奨している。たとえ3週間前を過ぎたとしても、訪問することを決めた時点で連絡することが必要である。10年前は駐独日本大使館の推薦状が必要だったが、いつの間にか不要になった模様。
・訪問の事前申し込みは、席の関係上も推奨されている。閲覧室はそれなりに大きいが、一人あたりのスペースがかなり大きいため、席数には限界がある。
・隣国にいることをいいことに、自分は一週間前にメールを出した。返事はOKだったが、次からは4週間前には連絡頂戴ね、と返事が来た。
■PAAAに所蔵されている史料
PAAAに所蔵されている史料は、大きく分けて四つの種類がある。第一に第二次大戦前、第二に
第二次大戦後のドイツ連邦共和国(旧西独およびその後の統一ドイツ)の外務省史料、第三に旧東独の外務省史料、第三に私文書(Nachlass)である。カタログは閲覧室に完備。ネットでは見れない。70年代以降はまだ整理中の史料が多く、受付の人に頼まないとカタログは見れない。
■注文数
一日20までの模様。注文は、閲覧室内のPCから行うが、ドイツ語が不自由は私には、受付の女性が紙に書いていいから、と言ってくれた。
■
机の上には史料をいくつでも持って行ってよい。
■閲覧室へのアクセス
・閲覧室は、地下鉄2番線のSpittelmarktとHausvogteiplatzの中間あたりあるが、若干Spittelmarktの方が近い。
・上記の住所の扉をあけると受付があるので、アーカイブ閲覧室の利用者だと告げると、身分証(パスポート)と交換にバッジ(立派なプラスティック製)をもらう。初日は、大抵訪問者リストらしきものと名前を照合しているので、はやり、訪問期日をきちんと指定して乗り込むのがよい。なお正規の職員は、このバッジを扉にかざすと鍵が開くようになっているが、閲覧室利用者のにはその機能はない。その代わり、受付の人が開けてくれる。
・入口から閲覧室へは、エレベータを一回乗り継ぐ必要がある。まず入ったところにあるエレベーターの二階(ヨーロッパ式)まで行って降て右側の廊下を進む(Lesesaalはあちら、の表示あり)。廊下を行った先にあるエレベーターに乗って、今度は4階(ヨーロッパ式)に。降りたら目の前が閲覧室前。
・ロッカーは、鍵が閲覧室の中の受付前においてあるので、まず中に入って、鍵を自分で取りに行く。
■史料の分類法(西独期のみ)
・史料は、基本的に担当課毎に大項目として分類されている。他方で、ドイツ外務省の機構は時期を追って改編されており、機構改編の系譜と、それぞれの課・局がどのような政策を担当していたかを把握することが、史料探しの第一歩となる。
・いまだよく分かっていないのだが、PAAAには通常の史料群と機密史料群とに分けられている様子である。公刊される西独外交文書AAPDに収録されているのは、通常、機密解除された機密史料群である。VS-Aktenと呼ばれるこの機密史料群のカタログは、たぶん内部の人間にしか公開されていないのだろう。閲覧室にあるカタログは通常史料群のもの(もちろん、これらの史料の中にも機密(Geheim)と記載されている史料はある)。
・VS-Aktenの中からAAPDに収録するために機密開示された文書を集めたのがB150。B150はカタログも閲覧室で見れる。AAPDも結構膨大だが、B150のカタログを見ると、AAPDに収録されなかった史料は収録された史料の4-5倍近いことが分かる。とすると、B150を見ると機密資料が一杯見れるように思うかもしれないが、二つ注意すべきことがある。第一に、B150はAAPDが刊行された年の分の史料しか存在しないこと、第二に、B150のカタログは日にち順に並べられているだけなので、ある特定のテーマで史料をおっていくことに向いていない点である。
・VS-Aktenを機密開示されたものをテーマごとに整理したのがB130。こっちの方が個人的には有用だと思う。しかし、その対象年代は圧倒的に1960年代前半(アデナウアー政権の後半およびエアハルト政権期)。
■複写について
・デジカメOK。しかし、閲覧室のデジカメ率は低かった。多くの人がパソコンもしくはノートにひたすらメモ/写経していた。
・多くの史料はマイクロフィッシュ化されており、フィッシュの複製料金は非常に安い(一枚1ユーロ弱)し、仕事も早い(1週間ちょっとで注文用紙が届く)ので、フィッシュについてはそのまま複製申請を出して、帰国してマイクロリーダーから落として行った方がお得だと思う。
・フィッシュの複製申請は、閲覧室に閲覧用紙があるので、それに記入。
・申請用紙を出してから1-2週間してから、申請用紙に書いてある住所に注文用紙が届く。支払い金額が書いてあるので、日本から短期で訪問した場合、日本から指定銀行(ドイツ)の口座に国際送金する。その後フィッシュが郵送される仕組み。
■その他
・閲覧室にはやや小ぶりながらも、ドイツ外交史に関連する研究書・史料集の本棚があり、のぞいてみるといろいろ発見がある。
・リラックスコーナーはない。みな、閲覧室前の、机などが置いてあるコーナーで休憩している。コーヒー等の自販機もない。多くの人は、ペットボトルやサンドイッチを持ってきて食べている。
どうしてもコーヒーが飲みたい、サンドイッチが行く途中に売ってなく空腹で何か食べたい、という人は一回建物から出る必要がある。自分もそうしたし、そうしている人は結構いる様子。
・ベルリンの地図は、空港においてあるBVG(ベルリンの公共交通機関公社)による路線図が一番見やすいと思う。
・自分が言うまでもないことだが、ベルリンはMitteからFriedrichstr.、Hackescher Marktあたりがにぎわっているし、またアーカイブからも近いので、このあたりに滞在するのがお勧め。アパート型ホテルも結構ある。
・この史料館の名前に、なんで「政治」が付いているのか、前に何かの解説で読んだような気がするが、忘れてしまった。どうしてなんだろうか。要するに、外務省史料館なんだけど。
・自分のドイツ語は笑ってしまうくらいに拙いが、拙いドイツ語をきちんと聞いてくれるのが好印象。
・成蹊大学の川村先生も書いているように、このPAAAの建物は旧東独外務省の建物を使用している。現在のドイツ外務省の建物は、このPAAAが入っている隣に位置する、さらに近代的で立派な建物である。10年前に初めて訪れた時、エレベーターが止まったり動いたりする時の衝撃がいちいち大きく、東ドイツ製ってこんなかんじだったのかな、と東ドイツ製エレベーターに乗ったこともないのに漠然と思ったものである。10年後再訪して、エレベーターの乗り心地はかなり良くなった。
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